電気のACとDCの意味と違い|それぞれの利点と欠点も解説

電化製品の説明書等を見ていると、「AC100V」といったり「DC12V」といった表示があるのを見たことがあると思います。
同じ電気で動く製品なのに、「AC」や「DC」というように表示が異なるのは、少し不思議な感じもします。

では、この「AC」や「DC」とは何を意味しているのでしょうか。
そして、この2つは何が違っているのでしょうか。

今回の記事では「AC」「DC」の意味と違いについて調べてみました。
それぞれの利点と欠点についてもまとめています。

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ACとDCの意味とは?


電気の交流と直流の違いとは

ACとDCは、どちらも電流を意味する言葉なのですが、以下のような違いがあります。

AC:Alternating Current

DC:Direct Current


つまりACとは「交流」で、DCとは「直流」のことを表しています。
この2つには、その電流の流れ方に大きな違いがあります。

交流:電流の流れる向きが周期的に変化する

直流:電流の流れる向きが一定で変化することが無い


以上のような違いですね。
なお、交流電流の流れる向きが1秒間に変わる回数のことを周波数といいます。

私たちの家庭を見回してみると、例えば家庭用のコンセントに来ている電気はAC(交流)で、スマートフォンのバッテリーや乾電池で利用できる電気はDC(直流)になっています。

これら2種類を比較してみると、向きが関係ないものがAC(交流)で、向きを合わせないといけないのがDC(直流)ということができます。

どういうことかと言うと、電化製品のプラグを家庭のコンセントに挿す時は、どちらがプラスでどちらがマイナスか気にしませんよね。
それでもAC(交流)は電流の向きが周期的に変化するので、問題なく電化製品は利用できるというわけです。

これに対して、乾電池で動く製品を使うためには、乾電池のプラスとマイナスに注意する必要がありますよね。
プラスとマイナスを逆にしてしまうと電流は流れませんから、その製品は使用できません。

つまり、電流の向きが一定のDC(直流)を使う場合は、プラスとマイナスの極性が重要になってくるということです。

AC(交流)の利点と欠点


ACとDCは、それぞれ交流と直流を表すことがわかりました。
では何故に、交流と直流という2つの異なる方式が併存しているのでしょうか?

ここからは交流と直流の利点と欠点について、それぞれ見ていきたいと思います。
まずは交流の利点と欠点についてです。

交流の利点


交流の利点は、変圧の際の電力ロス(伝送損失)が直流に比べて少ないことが挙げられます。

電気が最初に発電所で発電された際、電圧は2万Vくらいとなっています。
それを変電所で50万Vという超高圧電流にし、送電所へと送ります。

この送電所から家庭に届くまでに、何か所かある変電所で、電圧を下げていきます。
家の近くにある電柱に到達する時には、6600Vまで変圧しています。

そこから電柱にある変圧器で100V(または200V)にされた電流が、家庭へと届いているわけです。

このようにして家庭に届くまで、何回かの電圧の変換が行われているわけですが、この変圧作業をする時に、交流の方が少ないロスでできるというわけです。
言い方を変えると、直流電流を降圧させて送電するより、交流電流を送電した方が、はるかにコストが安いともいえます。

以上のような利点があることから、家庭用のコンセントまで送電される電流には、直流でなく交流が使われているというわけです。

そして交流は、万が一の事故の際に、電源の遮断を行いやすいというのも利点です。

交流の電気は、周期的にプラスとマイナスが入れ替わりながら流れているのが特徴でしたよね。
すると、このプラスとマイナスが入れ替わる際に、一瞬ではありますが、電流が流れなくなるタイミングがあるのです。

このタイミングを狙って電気を遮断すれば、機器にあたえるダメージを抑えることができるというわけです。

交流の欠点


では逆に。交流の欠点はどのような事でしょうか?

交流の欠点としては、目標電圧を確保するために、その約1.4倍の電圧をかける必要がある点が挙げられます。
具体的には、100Vの電圧を確保するためには、約140Vの電圧をかけていく必要があるのです。

これはどうしてかと言うと、交流の電気はプラスとマイナスが周期的に入れ替わっていることにあります。
先ほども述べた通り、プラスとマイナスが入れ替わる際に、電圧も電流もゼロになってしまう瞬間があるんですね。

この電圧がゼロになる瞬間をカバーするために、より高い電圧をかける必要があるというわけです。

そうすると、交流で動作する電化製品には、そのより高い電圧に耐えられるだけの性能が求められることになります。
そのために電化製品のコストがかかってしまうこと等が、交流の欠点といえます。

DC(直流)の利点と欠点


次に、直流の利点と欠点を見ていきたいと思います。

直流の利点


直流の利点は、プラスとマイナスの入れ替わりがないことから、送電線の構成が単純で済むという点があります。
プラスとマイナスの電線2本だけで、どのような電圧の電気も送電する事ができるのです。

実は交流電流も、2本の電線で送電する事ができます。
ですが、効率が悪いため、送電線ではその仕組みが採用されていません。

また直流は、電圧と電流に変化が発生しないという利点もあります。

交流では、常に電圧と電流が変化する点を踏まえて、電化製品等を設計する必要がありました。
直流電流用の機器では、電圧と電流は常に一定であるとして電化製品等を設計できるのも利点です。

直流の欠点


直流の欠点としては、電圧を変化させるのが、交流に比べてはるかに難しいという点が挙げられます。
直流はその性質上、プラスとマイナスの方向を一定にするのが特徴ですが、電圧を一定にするのも特徴だからです。

直流電流を変圧させるには、直流電流をいったん交流に変えて変圧器で降圧させ、降圧後に再度、直流に戻すという手順を踏む必要があります。
このように直流電流を変圧させるには、交流電流に比べて、手間とコストがはるかにかかってしまうのです。

もうひとつの直流の欠点としては、万が一の際の電源遮断が難しいという点も挙げられます。

直流では、常にプラスからマイナスに向けて電流が流れています。
従って、交流のように電圧・電流がゼロになる瞬間がありません。

直流電流の遮断方法が無いわけではありませんが、そのための機器構成がかなり複雑になります。
そのため、直流の遮断器は交流の遮断器に比べて、非常にコストがかかってしまうのです。

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ACアダプターとは?


私たちの家庭の電化製品を見てみると、DC(直流)で動作する製品が多いことに気づきます。
ですが、家庭用のコンセントにきている電気が交流であることは周知の事実です。

例えば、スマートフォンのバッテリーは直流ですが、充電は交流である家庭用コンセントから行っています。
直流と交流の違いがあるのに、充電が問題なく行えているのは何故でしょうか?

スマートフォンの充電器をよく見ると、ACアダプターというものがついています。
このACアダプターが、交流電流を直流電流に変換しているというわけです。

家庭にある直流で動作する電化製品は、全てACアダプターのように交流を直流に変換する装置を備えています。
そのため、交流である家庭用コンセントから電源を供給しても、問題なく動作するというわけなんですね。

ちなみに交流を直流に変換する主な方法には、「トランス方式」と「スイッチング方式」の2つがあります。
それぞれの特徴は、以下の通りになっています。

トランス方式:回路がシンプルでノイズが少なくコストも低い

スイッチング方式:コンパクトで軽量化することができ発熱しにくいがややコストが高い


実際にどのように使い分けられているかというと、ラジオやスピーカーというようなノイズの影響を受けやすいものにはトランス方式が適しています。
これが、コンパクトさを要求されるスマートフォンの充電器などでは、ほとんどスイッチング方式が採用されています。


今回の記事では、AC(交流)とDC(直流)の違いや、それぞれの特徴について取り上げてみました。


今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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