初午は何をする日?由来は何?いつ行うの?いなりをお供えするのはなぜ?

「初午(はつうま)」と聞いて、何をする行事かわかるでしょうか。

同じ2月の「節分」と比べると、いささか知名度が低いかもしれません。
ですが、稲荷神社の近くに住む人であれば、きっとすぐに思い浮かぶことでしょう。

今回の記事では初午の由来や意味、行われる時期やお供えする食べ物などを見ていきたいと思います。

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初午(はつうま)とは何をする日?


初午とは、2月に入って最初に巡って来る午(うま)の日です。
昔は日付のことを数字でなく、12の干支で呼んでいたんですね

この初午の日は、全国各地の稲荷神社で、豊作、商売繁盛、開運、家内安全などを祈願する日とされています。
なぜなら初午の日は、稲荷神のお祭りの日とされたからです。

稲荷神とは何の神様


稲荷神とは稲を象徴する穀霊・農耕の神です。
宇迦之御魂神(うたのみたまのかみ)とも呼ばれます。

古くはイナリを「伊奈利」と表記していたのですが、平安時代には「稲荷」と表記されるようになりました。
この「稲荷」が「稲成り」から来ていると考えられているため、稲荷神は五穀豊穣の神と解されるようになったのです。

そして、時代とともに稲荷神の解釈も変わり、現在では五穀豊穣以外にも、以下のような御利益があるとされています。

・商売繁盛
・産業興隆
・芸能上達
・家内安全
・諸願成就
・開運


稲荷神とキツネの関係


稲荷神社を訪ねてみると、キツネの姿を目にします。
どうして稲荷神社では、狛犬ではなくキツネなのでしょうか。

これは、キツネが稲荷神の御使いの動物と考えられたからです。
ちなみに、神様の「御使い」をする動物のことを、「眷属(けんぞく)」と言います。

もちろんですが、キツネが稲荷神というわけではありません。

初午の祭が稲荷神社で行われるようになった由来は?


伏見稲荷大社は稲荷神社の総本山

稲荷神社は、全国に約4万社あるといわれています。
その総本社が、京都市伏見区の伏見稲荷大社です。

西暦711年、宇迦之御魂神が伏見稲荷大社の東にある稲荷山(伊奈利山)に降臨したといわれています。
この日が初午であったということから、全国で稲荷神の祭りである初午祭が行われるようになったとされているのです。

清少納言が「枕草子」に、「2月午の日の暁に稲荷の社に詣で・・・」と記しており。
平安時代には、稲荷神社に参拝する風習が定着していたと考えられます。

旧暦の初午の日は、新暦の3月半ば頃になります。
これは、ちょうど稲作を始める時期でした。

そのため、もともと初午は、豊作祈願のお祭りであったと考えられます。
それが長い年月を経て、豊作、商売繁盛、開運、諸願成就、家内安全を祈願するものへと変化したのです。

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初午祭りの行事とは?


稲荷神社のお祭りとされる初午祭りですが、実際にはどんな行事が行われるのでしょうか。
一例として、総本社である伏見稲荷大社の「初午大祭」の様子を見てみたいと思います。

伏見稲荷大社の初午大祭


「初午大祭」は、稲荷山(伊奈利山)に降り立ったとされる宇迦之御魂神の、広大無辺なる神威を仰ぎ奉るお祭りとして行われます。

「初午大祭」では、2日前の辰の日に、ご神木である稲荷山の杉と椎の枝で作った「青山飾り」を本殿・摂社・末社に飾り、初午の日を迎える習わしがあります。

そして初午の日、朝の8時から祭礼が始まります。



初午の日に参拝することを「初午詣」といいますが、「福詣」ともいわれます。
前日から社殿の前の社頭は参拝者で埋まり、まさに初春の京都の風物詩です。

そして、この日の参拝者には、社頭で「しるしの杉」が授与されます。
これはご神木の一部であり、商売繁盛・家内安全の御符といわれています。

この霊験あらたかなご神木をいただいて帰り、初午詣をした“しるし”とするのが、平安時代からの習わしなのです。

ちなみに伏見稲荷大社のご神木とされる「杉」は、木が昌(さか)んに生い茂ることから「椙」とも書きます。
そして、「富の木」とも称えられているのです。

参照:伏見稲荷大社(京都市伏見区深草薮之内町68番地)

初午はいつ行われる?


初午は2月最初の午の日ですが、現代の暦に直すといつになるでしょう。
新暦を基準に、ここ数年間の初午の日を載せておきます。

2018年:2月7日(水)
2019年:2月2日(土)

2020年:2月9日(日)
2021年:2月3日(水)
2022年:2月10日(木)


初午のお供えはこれ


初午の日には、お供えをするとよいとされる食べ物があります。

いなり寿司


初午祭の食べ物と言えばいなり寿司

稲荷神社といえば、キツネと切っても切れませんよね。
そして、稲荷神の御使いであるキツネは、油揚げが大好物なんです。

そのため初午の日のお供え物は、「油揚げ」か「いなり寿司」が中心になります。

この「いなり寿司」ですが、東日本では「いなり寿司」、西日本では「おいなりさん」と呼ばれることが多いです。
そして東日本では米俵に見立てた俵型、西日本ではキツネの耳に見立てた三角形にするのが主流です。

この初午の日に食べる「いなり寿司」のことを、「初午いなり」と呼びます。

しもつかれ


栃木県を中心として、北関東地方に郷土料理として伝わっているのが「しもつかれ」です。
これは、鮭の頭と、鬼おろしで荒くすりおろした大根やにんじん、油揚げ、大豆を酒粕で煮こんだ料理です

正月や節分で余った材料を用いたアイデア料理でもあります。
味付けに調味料を一切使わず、酒粕の量を調整して味を調えるのがポイントです。

「しもつかれ」を稲荷様に供えると「疫病にかからない」、という言い伝えがあります。

赤飯


「赤飯」といえば、お祭りやお祝いの日に炊かれるものですよね。
栃木県では、しもつかれと一緒に稲荷神社にお供えしたといわれています。

初午団子


「初午団子」とは、富山県や岐阜県などに伝わっている郷土料理です。
もち粉にお湯を注いでこね、耳たぶくらいの硬さにし、ちぎって繭の形にしたものになります。

繭の形をしている理由は、初午の日に、蚕の神様を祀る行事も行われていたからです。
かつての日本は養蚕が盛んであり、「繭がたくさんとれますように」という願いがこめられました。

ちなみに「初午団子」を食べる際は、醤油をつけずに食べます。
これは、繭にシミがつかないようにするということを意味しています。

御神酒


「御神酒」も、神様にお供えするものとして欠かせないものです。

旗飴(はたあめ)


奈良県の一部では、初午の日に「旗飴」と呼ばれる飴菓子を子どもに配る地域があります。
「旗飴」とは、旗のような色紙が付いた棒の先に、小さな飴が付いたものです。

「旗飴」が行事食となっている地域では、初午の日に子どもたちが地域の家を1軒ずつ回ります。
そして、「旗飴ちょーだい!」と言って、「旗飴」をもらうという光景が見られるのです。

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「初午いなり」は「恵方巻き」になるか?


「一般社団法人全日本いなりずし協会」が、2018年に「初午いなりの日」を制定しました。
その日は「建国記念日」と同じで、初午の日に近い、2月11日です。

初午は運気が高まり、稲荷神の御使いであるキツネの好物である「いなり寿司」を食べると福を招くといいます。
この「いなり寿司」のことを「初午いなり」と呼ぶのを知ってもらうことが、「初午いなりの日」の制定目的です。

同じ2月の「恵方巻き」などと比べると、「初午いなり」の認知度はまだまだです。
ですが、コンビニやスーパーが関連商品を打ち出したり、「記念イベント」が催されるなど、「初午いなり」を定着させようという動きが出てきています。

「初午いなり」も「恵方巻き」のように深く浸透した商品となるのか。
そういう観点からも、初午のこれからに注目していきたいところです。


今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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